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「あ、ヤバいもうこんな時間じゃん!」
駅のホームでふと気付いて腕時計を見た私は焦った。

このままではまた待ち合わせに遅れてしまう。
いつも私は恵一と亜紀と3人でバス停に集合する事になっている。
そして私は毎回の如く1番最後に着く。
今日こそは3人の中で1番早く着こうと思っていたのに・・・

正直、私は相当朝に弱い。
普段から起床が遅い上に、今日は更に駅でも眠ってしまった。

「あ~あ、折角今日は早く駅に着いたのに、これじゃあいつもより遅いじゃん・・・」
自然とぼやきが独り言となり口をついて出て来る。

しかしこれ以上2人を待たせるのは良くないと思った私はいつものバス停へと走り出した。


私がやや息を切らせてバス停に着いた時、そこにはいつものように2人が待っていた。

「あぁもう、七海!お前遅ぇよ・・・」
思っていた通りだ。やっぱり恵一に窘められた。

「ごめんごめん・・・」
今回は流石に悪いと思い、私はすぐに謝った。

「まあ七海は朝弱いから仕方無いよ。でも今日はやけに遅く・・・」
「おいおい、もうバス来ちまったぞ。まずはさっさと乗っちゃおうぜ。」
亜紀の言葉を遮る様に恵一が言った。

だが確かにその言葉はもっともだ。
と言うのも、1本バスを逃すと次のが来るまで最低15分はかかる。

そういう訳で、私達は取り敢えずバスに乗り込んだ。


「それでさ、亜紀、さっき一体何言おうとしたの?」
私は話の続きを尋ねた。

「いや、あのね・・・やけに今日は遅いと思って・・・」
それに対し、亜紀は少し後ろめたそうに言った。

私はその様子を気にしたものの、敢えてそこには触れず事情を説明した。
「今日は珍しくいつもより早く駅に着いたんだよ!でもさ、ちょっとホームで休んでたら・・・」

「休んでたら?」
亜紀が聞き返した。

「・・・何か知らないけどまた寝ちゃったっぽくて」

私が答えると、亜紀も恵一もずっこけた。
「そ、そういう理由!?」
「お前どんだけ朝弱いんだよっ!」
その時ばかりは2人の突っ込みも無理ないな、と私は心の隅で思った。

しかし、この時私は1つ気になる事があった。

「そういう理由って・・・他に何かある訳?」
「うん、今日人身事故があったってさっき聞いたから、もしかしたら七海も巻き込まれたかと思って・・・」

「・・・人身事故?」

そんな事は初耳だ。

「誰がそんな事言ってたんだ?それに俺が来た時は全然電車とか遅れてなかったぞ」
「あれ、恵一も聞いてないの?てっきり2人共知ってるのかと思った・・・それに私が来た時も遅れてなかったし・・・」
「俺はともかく七海が来る時も遅れてなかったって事は、聞き違いか何かじゃねぇの?」
「そう、なのかな・・・」
亜紀はますます自信なさげに言った。

「何かね、今朝恵一が来る前に誰かが今日人身事故があったとか言ってたのが聞こえたから・・・」
「う~ん、違う線の事とかだったんじゃない?」
「まあ別に良いんじゃね?結果的に問題も無かったんだし」
「そっか、そうだよね!」
「うん、気にする事も無いと思うよ」

こうして会話が続いているうちに、バスは学校へと辿り着いた。
そして私達はそのままバスを降り、教室に向かって行った。
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